令和元年12月の紫波町議会定例会は、多岐にわたる議題を扱い、地域に根ざした問題意識が強く表れる内容となった。
特に注目されたのは、「ふるさと納税について」の議論である。阿部美佳子議員は、少子高齢化によって厳しい財政状況が続く中で、ふるさと納税の重要性を強調した。町長である熊谷泉氏は、今年度の寄附額が前年度と比較して280%増加したことを挙げ、地域活性化に寄与していると述べた。特に、返礼品の取扱事業者数の増加が寄附の流れを後押ししている。今後も、地域外の応援者をどのように結びつけるかが課題として浮上している。
農業振興の取り組みもクローズアップされた。農業従事者の高齢化が進む中で、スマート農業の導入が提案され、産業部長の中田秀男氏は、ロボット技術やIoTを利用した生産性向上への期待を込めて意義を説いた。これにより、農業従事者の負担を軽減し、持続可能な農業経営を実現すると期待している。また、農業従事者の育成についても言及され、地域の支援が重要であると指摘された。
高齢者運転免許自主返納支援については、戸塚美穂議員が提案し、高齢者の安心な生活を確保するための施策が議論された。特にデマンドタクシーの導入が期待されており、高齢者が運転免許返納後に快適に生活するための支援を紹介した。町長は、地域住民との協働を強調し、地域のつながりを生み出す重要性を訴えた。
町道整備についても取り上げられ、浅沼有朋議員は、町道整備請願の採択状況に触れ、長期計画の必要性を訴えた。町道路整備の現状と課題が指摘され、町民の声を受けた整備方針が今後の計画に反映されることが期待される。この点に関し、町長は慎重に判断する姿勢を示しながらも、維持管理の重要性について意義を述べた。
最後に、ため池の安全対策についても話題に上り、農業用ため池の点検状況や防災重点ため池の取り組みが紹介された。台風19号の影響を受けたため池に関する新たな支援体制の構築と事故の未然防止活動の重要性が強調された。