令和5年9月29日に開催された酒田市議会定例会では、矢口 明子市長が所信表明を行い、人口減少と地域振興の重要性を強調した。
市長は歴史と伝統がある酒田市政を引き継ぎ、地域の課題に全力で取り組む決意を表明した。特に、人口減少が直面する課題として、若年層の都市流出と生産年齢人口の急激な減少を挙げた。
統計データに基づき、過去43年間で市の人口は著しく減少したことを指摘し、特に生産年齢人口が21世紀に入ってからの20年間で約2万2,000人も減少している状況は深刻であると述べた。
「2040年問題」とも呼ばれる現在の市の状況では、働き手が高齢者を支える時代が目前に迫っている。市長は「これらの課題に対して早急な対策が求められます」と言及し、具体的には以下の4つの方向性が提案された。
まず、産業の振興による就業機会の創出が重要視される。デジタル関連企業や再生可能エネルギー関連企業の集積を進めることが、市民の所得向上につながると期待されている。
次に、働きたい全ての市民が環境を整えるため、多様な人材が働ける体制の構築も打ち出された。男女平等や高齢者、障がい者が働ける環境の整備が不可欠とのことだ。
さらに、人口が減少した後も生活環境を整える取り組みが求められ、子育て支援や教育、医療、防災などあらゆる面で市民の豊かさを守るための具体策が提唱された。
最後に、市役所の構造改革の必要性も語られ、各職員には市民の幸せに寄与するための業務を見直すよう促された。市長は「市政運営には市民との対話が不可欠」とし、その重要性を再確認した。
今後開催予定の会議ではこれらの施策が具体化される予定だ。市長は「人口減少という大きな課題に立ち向かい、豊かで安心した暮らしを実現するために、議員各位と共に力を合わせていきたい」と結んだ。