令和６年３月、酒田市は第２回定例会を開催し、令和６年度の一般会計予算案を中心に議論が行われた。
今回の予算総額は562億5,000万円であり、前年度より10億5,000万円、率にして1.9％の増加となっている。この予算案では、特に人口減少に対応した施策が強調され、四つの重点項目が設定されている。
市長の矢口明子氏は、人口減少を緩やかにするための市民所得の向上、働く環境の整備、安心して暮らせるまちづくり、市民のウェルビーイングを実現することを目指すと述べた。
この中で、市民からの質問に対して、特に注目されたのが、国の地方財政見通し和しての地方財源確保、物価高騰への対応、そして地方公務員の人材育成に関する取り組みである。市原栄子議員は個人住民税の定額減税による減収分補填の見込みについて質疑したが、矢口市長は「この減収分は国から全額補填されるため、地方財政への影響はない」との回答を行った。
また、新年度予算においては、特に子ども・子育て支援に関する予算が増加し、児童手当の支給対象の拡大や、子育て支援加速プランによる新規事業が盛り込まれている。その一方で、議員たちは物価高を受けた一般行政経費の増加（例えば、光熱費、委託料）が新年度予算にどのように反映されているかを注視している。
加えて、移住定住促進案として、親子移住体験ツアーを通じて本市の魅力を発信し、地域への定住を促す取り組みが発表された。この事業は特に、若い世代に向けた戦略的なアプローチとして位置づけられており、未来の人材確保に向けた重要な施策とされている。
さらに、酒田市としての地域経済活性化に向けた施策も確認された。特に、産業振興まちづくりセンター「サンロク」が、地域商工業のマッチングや起業支援において中心的な役割を果たしていく方針である。今後は創業支援や地域コミュニティへの資金を提供するコミュニティファンドの設立も予定されており、地域の活力向上に寄与することが期待されている。
このように、市長施政方針に基づく予算編成は、強い市民参画を促進しながら、継続的な地域課題の解決に向けた具体的なステップを刻むものと位置づけられている。