令和3年9月1日、越谷市において、インボイス制度の実施中止を求める請願が受理された。
請願は、消費税制度における新たな課税方式として導入される適格請求書等保存方式に対するものだ。この制度は、課税業者が税務署長に登録し、登録番号を表示した請求書や領収書でないと消費税の計算ができないというもので、特に免税事業者に大きな影響を及ぼすとされる。
請願者の一人である島田氏(消費税を考える越谷市民の会代表)は、免税事業者が商取引から排除され「廃業を選択することは避けられない」と強調した。また、代表の大里氏(民主市政をめざす越谷市民の会)は、インボイス制度が企業に新たな過重負担をもたらし、地域経済の衰退を招く恐れがあると指摘した。
新型コロナウイルスの影響下で、多くの事業者が厳しい状況にある中、財務省の試算によれば、新制度導入に伴い、約161万社が課税業者になり、その負担額は平均して15.4万円となる見込みだ。特に小規模事業者にとっては、この負担は痛手となり得る。
中小企業庁の調査結果によれば、課税事業者の約2割が免税事業者との取引を見直す意向を示している。この結果からも、インボイス制度の導入が事業環境に与える影響は少なくないことが伺える。また、約7割の事業者が準備を行っていないという状況も懸念されている。
地域経済の維持を考えると、インボイス制度の実施は再考が必要であるとの声が強い。請願者たちは、地域の商業活動が減少しないよう、政府に対して意見書の提出を求めている。さらなる事務負担が中小企業や零細企業に重くのしかかる中、行政の配慮を期待する声が上がっている。