令和6年3月、岡崎市議会の定例会で春の新年度予算が迅速に議論され、特に「こどもまんなか もっと家康 昇龍予算」と題された予算案が注目を集めた。この予算案には、コロナ禍からの回復と未来志向の社会の実現に向けた政策が盛り込まれている。
最初に予算編成の大きなポイントが述べられた。市長の中根康浩氏は、こどもと子育て家庭への支援、持続可能な社会づくりとしてのゼロカーボンシティの取り組みを強調した。特に、「もっと家康公“ど”まんなかプロジェクト」の推進を通して、岡崎市のアイデンティティを未来につなげる重要性を強調した。
令和6年度予算は、1,404億1,000万円と過去最高の規模に達し、61億9,000万円、4.6%の増加が見られた。この増加分は、子育て支援を強化するためのものであり、特に教育や福祉関連に重点が置かれた。
また、議会の代表質問においては、推計人口の推移も議論の焦点となった。総合政策部長の岡田晃典氏は、2070年には日本の総人口が8,700万人に減少する見込みであり、その中で岡崎市の対策が急務とされると述べた。特に高齢者の増加が顕著で、地域の健康づくりやライフラインの維持が問われている。
さらに、岡崎市の暮らしを支える都市づくりにおいては、東岡崎駅周辺のまちづくりや地域公共交通計画などが進行中であることが確認された。市長は「安全・安心なまちづくり」に向けての具体策や、災害廃棄物仮置場、ゼロカーボンシティを目指した環境施策の重要性を訴えた。
市民の健康を守るための施策、特に結核・感染症病床の整備や、地域福祉の充実に関しても言及がなされた。防災施策としては、過去の能登半島地震の経験を生かした災害対応体制の強化が求められ、今後の自然災害に備える取り組みも進められることとなった。
また、観光振興の重要性も強調され、アフター大河ドラマ効果を生かした地域経済の活性化や、ラリージャパンなどのスポーツイベントを通じた集客戦略が提唱された。市民の参加を促す施策も重要視され、地域住民が自発的に連携し盛り上げることが期待されている。
総じて、本議会では地域課題を解決する具体的な政策提案が目白押しであり、市は市民とともに地域づくりを進めていく姿勢を明確に示している。市民に対し持続可能かつ安心安全な暮らしの基盤を整え、今後の社会ビジョンを示す重要な出発点となることが期待されている。