令和5年9月21日、渋谷区議会では定例会が開かれ、区民の期待が寄せられる多様なテーマに関する議論が行われた。
特に注目されたのは、子育て関連の議題である。「養育費確保について」の質問をしたのは、「シブヤを笑顔にする会」を代表する橋本侑樹議員。彼は、全国のひとり親家庭の相対的貧困率が高いことを問題視し、「養育費の未払いが大きな要因である」と指摘した。
また、東京都が2023年4月に設定した養育費受け取り率の政府目標である「40%」を達成するため、離婚前後の支援を充実させる必要性を訴えた。区長の長谷部健氏はこの提言を受け、支援の方法を模索する旨を表明した。
橋本議員はさらに、「子育てコミュニティを形成することが孤立を防ぐためには必要である」と強調した。昨年の児童虐待相談対応件数が28万を超えたと述べ、地域における見守りの重要性を訴えた。また、具体的な取り組みとして、つくば市の養育費取決め促進事業の成功例を挙げ、渋谷区でも実装可能か尋ねた。
長谷部区長は、地域の子育てコミュニティへの期待を示し、既存の支援センターを活用した協力体制の構築について考慮する意向を示した。
更に一般的な福祉施策の強化も求められた。「相談資源の可視化」「地域包括支援センター」での相談窓口の役割などが重点的に議論され、特に老人や障がい者が抱える課題に対しては、必要な情報が届くよう改善すべきとの意見が多くみられた。
また、教育に関する問題としては、学校給食の無償化に関する議論が浮上した。多くの自治体で進む中、渋谷区も追随する必要があるとの声が見受けられ、区長は前向きに検討する姿勢を示した。
他にも、熱中症対策として、アイスバスの導入や、学校や公共施設への給水スペース増設が提案された。これに対し、区は迅速な対応を推進し、安全対策を講じるとともに、地域住民との連携を強化する姿勢を強調した。
議論は多岐に渡り、区民の暮らしの質を向上させるための施策がいくつも提案されたが、いずれも最終的には、実効性が求められる状況にある。特に、養育費の確保や子育て支援の体制は、地域社会の未来を明るくするために、より一層の取り組みが期待される。