令和4年12月7日、多久市の定例会では、主に議案に対する質疑が行われ、2つの重要なテーマが浮き彫りになった。ひとつは、企業版ふるさと納税および基金条例の改正についてである。今回の改正で、企業からの寄附金を新たに多久市ふるさと振興基金に積み立て、必要に応じて繰り出しが可能となる。これにより、歳入確保の一助とする狙いがある。この取り組みに関して、総合政策課長の梶原聖司氏は、「企業版ふるさと納税による寄附により、最大で寄附額の約90%の税額控除が受けられる」と説明し、その具体的な寄附状況についても説明した。現在までに、企業からの寄附は2件、総額1,100千円を受領している。
次に、多久市定住促進条例の改正についての質疑があった。この改正は、定住奨励事業の延長と内容の充実を図るもので、特に子育て世帯に対する奨励金の増額が焦点となった。鷲﨑義彦氏はこの改正の背景に、移住促進のための新たな支援策が求められていると指摘した。総合政策課長は、市外からの転入者が約1,100人となるなど、過去の実績を踏まえ、引き続きこの制度を運用していく意向を示した。また、具体的な新規事業として、宅地造成支援補助制度を新設し、民間事業者と連携して低廉な住宅を確保する目的がある。
補正予算に関する質疑では、池田学氏の動物画シリーズ購入の経緯や、その予算についての議論が交わされた。61,525千円の経費が計上されており、この財源はふるさと振興基金からの繰り入れである。この購入に対し、議員からは「市民の福祉向上が優先されるべきではないか」との声も挙がり、その議論は今後の財政運営に影響を与える可能性がある。
最終的に、各議案については委員会に付託され、今後の審議に引き継がれた。これらのテーマは、多久市の財政策や住民福祉に関わる重要な案件であり、引き続き市民の目を惹くところとなるだろう。