令和5年6月20日に行われた臼杵市議会の定例会では、重要なテーマ3つが市議による一般質問を通じて議論された。その中でも特に注目を集めたのが、高齢者福祉と公共施設の管理、さらには旧県立野津高校跡地の利活用に関する取り組みである。
最初の一般質問では、匹田久美子議員がコロナ禍における高齢者の福祉状況について質問を行った。本市での高齢化率は、2020年に40%を超えており、特に85歳以上の高齢者の増加が見込まれるため、介護ニーズが高まっている。匹田氏は「高齢者が家庭で孤立しないよう、地域での見守りや支援が必要である」と指摘し、現在の支援状況について市長に問うた。
これに対し、高齢者支援課長の安藤隆文氏は、コロナの影響で高齢者が外出を減らし、日常生活に影響を受けている現状を報告した。また、地域包括ケアシステムの機能についても、医療、介護、生活支援の包括的な体制が整備されていると強調した。特に、高齢者支援課は、「地域包括支援センター」の役割を重要視し、様々な相談窓口が役立つ体制を整えていると述べた。
続いて、公共施設等総合管理計画についての質問が行われた。匹田議員は、人員減少や税収の減少に伴う、公共建築物の削減計画について具体的な推移を求めた。財務経営課長の荻野浩一氏は、計画の策定以来、施設面積が増加している点を挙げ、具体的な削減効果や今後の見直しが求められているとの見解を示した。これは、継続的な財政の健全性を維持するためには必然的な対策であり、今後も情報公開と市民への周知を進めていく必要性を強調した。
最後に、旧県立野津高校跡地の利活用事業について、広田精治議員が質問した。既に経営破綻した株式会社NEXT FARMについて、議員はその詳細な情報と違法行為の可能性について問いただした。副市長の田村和弘氏は、事業者との対応策や監査委員からの指摘に基づく取り組みを含む、今後の対策を説明した。しかしながら、利活用事業者がどのような資金調達を行い、その結果がどのように影響したかに関し、全体像の把握が求められているとの課題もあわせて指摘された。
この議論を通じ、今後の臼杵市における高齢者支援や公共施設の管理、地域の持続可能性に関する取り組みが、議会と市民の協力によりより効果的に展開されることが期待される。市民生活を支えるためには、地域のニーズを踏まえた計画策定と啓発活動が不可欠であり、今後の対応が注目される。