令和6年6月21日、加賀市の定例会では、北陸新幹線開業後の観光客動向や市の消滅可能性、医療体制の整備について議論が行われた。特に、北陸新幹線の影響で加賀市への観光客数が以前より減少したとの指摘があり、今後の観光誘致策や地域振興に向けた施策が重要とされた。
林俊昭議員は、北陸新幹線開業以降の観光客数が前年よりも減少していると報告。特に、加賀温泉駅の延伸工事が実施中であることが影響しているとの懸念を示した。また、加賀市の推計人口が6万人を割り込み、人口減少に歯止めがかからない状況について、国や県がリーダーシップを発揮すべきだと強調した。
この状況に対して、宮元陸市長は、厳しい財政基盤の中で継続的な取り組みが求められる状況が続いていると述べ、今後は産業構造を変えることが重要であると語った。具体的には、公共交通の整備や商業施設の充実を進め、地域の若年層が流出しないような施策を展開する意向を示した。
また、加賀市医療センターの常勤小児科医の確保についても重要な議題として取り上げられた。林議員は、常勤小児科医が退職し、現在は1名体制であることから、市民の安全・安心が脅かされる状況にあると懸念した。蔦医療センター管理部長は、金沢大学から新たな医師の派遣を受けられる見込みがあると述べたが、分娩への影響が懸念されるとして、しっかりとした体制構築が求められるとした。
観光宣伝については、今後のプロモーションが関西・中京圏にも注目する必要があり、ただ漫然とした広告は行わないと明言した。小出仙産業振興部長は、利便性の向上をアピールし、地域の特徴を生かした観光プランの開発を促進し、再度関西や中京圏への観光客誘致へ向けた新たなキャンペーンなども視野に入れていくとした。
さらに、地域共生社会に向けた取り組みや、ユニバーサルデザインフォントの活用による情報提供の工夫が今後の重点項目に上がるなど、参加者の理解を深めるための施策が展望されている。市役所では、各種文書にユニバーサルデザインフォントを使用すべく取り組んでいるが、全庁的な普及にはまだ不十分とのこと。市としては推進の準備を進めていく考えを明言した。
最後に、加賀市の持続可能な未来に向けた取り組みや現状の課題が明らかにされ、引き続きの市民参加が求められることとなった。