稚内市議会は令和5年第6回定例会で、市政に関する一般質問を行った。質問では、東京電力福島第一原発の処理水放出が市の水産業へ与える影響や、ふるさと納税の拡大に向けた施策が議論される一方、一般廃棄物最終処分場の現況についても詳細な報告がなされた。
まず、水産業に関しては、志政会の千葉一幸議員が、処理水放出後の風評被害の懸念を指摘した。市長の工藤広氏は、処理水放出が水産物の価格や需給に悪影響を与える可能性を認識し、漁業者、更には運送業者にまで影響が広がると述べた。また、既存の国の補償制度についても触れ、適切な対応を求めている。
次に、ふるさと納税の取り組みについても質問が相次ぎ、返礼品の充実や住民の寄付意欲を高めるための施策が提案された。特に、寄付額の増加には、地域特産品の魅力を引き出し、定期的な情報発信が重要であるとの意見が交わされた。市としても、1年目の集計で過去の寄付傾向を分析し、効果的な施策を模索する考えが示された。
一般廃棄物処理に関する質問では、最終処分場の準備状況や今後の方針について議論された。市内生産者や市民からは、施設が持続可能な運用がされるか不安の声が上がった。市長は過去の実績を踏まえ、計画的な運営を進めていく考えを述べた。
最後に、自治体のデジタルトランスフォーメーション(DX)推進についても疑問が投げかけられ、職員の業務負荷を軽減しながら、市民サービスの向上を図るための具体的な取り組みが期待されている。市長は、今後の施策の推進に向けては職員の協力が不可欠であると強調した。
今回の議会では、各議員が市民生活に直接関わる重要な問題に対し真摯に向き合い、今後の取り組みについて建設的な意見が交わされる場となった。市民の期待に応える政策の実現を目指すことが求められている。