稚内市議会の令和6年度第3回定例会は、複数の重要な議題が取り上げられた。
特に、議案第60号である令和6年度一般会計補正予算案が中心的な議題となった。市長の工藤広氏は、国の物価高騰対策として、所得税と個人住民税の定額減税の実施を受けた支援策を詳細に説明した。新たに住民税非課税世帯や均等割のみ課税される世帯に対し、給付金の支給が決定されたことが強調された。
具体的には、住民税非課税世帯には10万円、児童1人当たり5万円の給付が行われる予定である。この点について、市長は「低所得者支援として、必要な予算の追加を上程しました」と語り、歳出の合計は2億8,589万3,000円の見込みと述べた。
次の議題は、市政に関する一般質問だった。日本共産党の安藤秀明議員は、物価高騰の背景にある政治的要因を指摘し、教育問題についても質問を続けた。「教員の多忙化解消に向け、小学校低学年の30人学級の実現と支援員の増員を要望します」と効果的な教育環境の整備を求めた。
さらに、学校給食の無償化についても言及。「完全無償化を急ぐべきです」と市長に訴えた。市長は「現在の施策拡充状況を評価し、国の動向を見つつ前向きに検討します」と答え、学校配当予算の増額に対する要望については慎重な姿勢を見せた。
一方、森敬四郎議員は、旧稚内海員会館の早期解体について質問し、地域再開発の重要性を強調。市長は、跡地の活用を含めた整備を進める意向を示し、「早期の決定を目指していく」と答えた。
次に、平尾護議員が新型コロナワクチンの接種方法や健康被害についての質問を行った。市長は、「副反応についても考慮し、情報は透明性を持たせていく」と答えた。しかし、具体的なデータ開示については消極的な姿勢を取った。
全体を通じて、議会はさまざまな角度から市民への支援策を考慮しつつ、地方自治の役割と責任を再確認する場となった。今後の施策に注目が集まっている。