令和4年第4回稚内市議会が6月21日に開催された。この定例会では、一般会計補正予算の件や市政に関する一般質問が主要議題として取り上げられた。
補正予算案は3億4,707万9,000円の増額を見込んでおり、生活の困窮や物価高騰の影響を受けた市民への支援が主眼とされている。工藤広市長は、特に低所得者や子育て世帯に対する支援策を重点的に検討していると述べ、その理由は市民生活への直接的な影響を重視しているためだ。具体的には、学校給食費の補助や水道等の公共料金の負担軽減が含まる。
議案第57号に関し、工藤市長は経済的要因の背景として、新型コロナウイルスの影響や国際的な物価高騰を挙げ、市民の生活保護を確保するための必要な措置として早急な対応が求められると強調した。更に、ウクライナからの避難民受入れに関しては、支援体制が構築されつつあることを市長が説明し、「静かな環境での生活を送ってほしい」とコメントした。
次に、ロシアのウクライナ侵略について、日本共産党の中尾利一議員は市長の積極的な発信を求める意見を述べた。市長は、ロシアの行為を非難する考えを示したが、冷静さが重要であるとの立場を維持しており、直接的な抗議行動については慎重な姿勢を崩さなかった。これに対し、中尾議員は、友好関係の再構築を目指したアプローチを提案し、地域間の交流を強化すべきだと主張した。
続いて、帯状疱疹ワクチン接種への助成についても議論が交わされた。中尾議員は助成の必要性を訴え、稚内市においても猿払村のような助成制度を設けるべきと主張したが、工藤市長は現状では助成の計画はないとの立場を示した。帯状疱疹ワクチンが任意接種であるため、助成の必要性を認識しつつも、現時点での実施は難しいとの見解を述べた。
一方で、森林整備やデジタル化に向けた取り組みについても注目が集まる。北の大地での森林管理の話題も出され、地域資源の適正な開発が強調された。また、市川市が進める自治体デジタルトランスフォーメーション(DX)の成功事例を参考にし、稚内市でもその推進が期待されている。事務の効率化や市民サービスの向上が目指されており、デジタル技術を駆使した新しい形の市役所が模索されている。
さらに、温水プール水夢館の改修やノシャップパークゴルフ場の増設についても言及され、市民からの要望が強い施策に対する進捗や見解が求められた。市長は段階的なアプローチを提案し、地域振興を見据えた対応を行う意向を示した。
最後に、温水プールやパークゴルフ場の利用促進が、地域にどのような価値をもたらすか、市民の健康増進に貢献するかについて議論が続けられた。地域資源を活用した新たな取り組みへの期待が膨らむ中、議会では活発な討論が展開されている。