令和3年9月7日に開催された大野市の定例会では、環境施策に関する広範な議論が展開された。特に大野市のくらし環境政策は、地域住民の生活を支える重要な取り組みとして強調され、様々な質疑が行われた。
廣田憲徳議員が提起した質問に対し、石山志保市長は市の脱炭素社会への移行に関する目標を述べ、2050年にはCO2排出量を実質ゼロにするゼロカーボンシティを宣言したと強調した。市内の温室効果ガスの排出量については、国の推定値によると、経済活動に伴う年間のCO2排出量は約30万トンであり、同時に森林による吸収量は約19万トンであることを説明した。これを踏まえ、11万トンの削減目標を設定している。
さらに、地域脱炭素先行地域に選出されるメリットも説明され、国の支援を受けた高度な対策が求められている。市長は、「排出量削減の具体的な施策の一環として、脱炭素ビジョンを策定することに努めており、再生可能エネルギーの導入目標を検討している」と述べた。
また、広田議員の質問に対し、地域の水循環基本計画に基づく市民主導の取り組みについても話題に上がった。新たな節水施策や水質保全に関わる制度が紹介され、市民参加型の施策に期待が寄せられている。この中で、生活排水処理率の向上を目指し、多様な取り組みが進められている点も強調された。
さらに、農業に関する質問に際し、高橋拓也農業政策部長は、農業経営収入保険の加入促進補助や、米価安による農家の所得減少を補填する施策について言及した。特に、米価の下落が地域経済に及ぼす影響が懸念されており、地域全体での農業振興策が検討されている。
このように、定例会では環境政策、農業振興、コロナ感染症対策など多岐にわたる議題が焦点となり、今後の施策や市民への啓発が求められている。市民にとってより住みやすい、持続可能な地域づくりに向けた具体的な行動が期待されているとともに、継続的な対話や関与が重要視されていることが印象的である。