令和3年9月の豊橋市議会定例会において、重要な課題が議論された。特に、住民の健康と福祉に密接に関連する「おくやみコーナー」設置や「新型コロナウイルス感染症対策」、それに「保育士確保に関する取り組み」が大きな焦点となった。
おくやみコーナーは、市民が葬儀後の手続きをスムーズに行えるよう配慮された専用窓口である。市民協創部の加藤智久市民協創部長によると、設置後の利用者アンケートでは96%が「利用してよかった」と回答しており、その評価は高い。一方、全ての手続きを一箇所で行うワンストップサービスの実現に向けた改善が今後の課題として挙げられた。
新型コロナウイルス感染症の感染状況は依然として厳しく、特に8月から急激な増加が見られた。自治体の健康部門は、軽症や無症状の自宅療養者を中心に、毎日の健康観察を実施し、急変者に対する対応策を強化している。しかし、宿泊療養施設の不足が指摘されており、追加設置が望まれる。健康部の撫井賀代部長によれば、宿泊療養はひとり暮らしの高齢者にとって安全な選択肢であり、県に対して増設を要望しているが、現時点では感染者の受け入れが難しいと説明した。
保育士の確保も重要なテーマであり、現在の状況では保育士不足が顕著になっている。民間保育園においても人材マッチングを行い、322人の就労が実現した一方で、求人数に対しての応募数は減少している。市は、働く環境の改善や、潜在保育士の掘り起こしに向けた取り組みを進めると同時に、保育士の魅力発信を強化している。
また、児童虐待の相談体制についても強化が求められている。昨年度は494件の相談があり、増加傾向にあるため、社会福祉士などの専門職の増員と育成が急務とされている。加えて、孤独死を防ぐための取り組みが強調され、特に高齢者に対して地域包括支援センターとの連携が重要になる。
豊橋田原ごみ処理施設の整備も、災害対策の観点から議論された。新施設は災害発生時にも円滑に稼働できるよう、耐震性を重視し、BCPの策定を進める姿勢が示された。