令和5年9月29日に開催された刈谷市議会では、複数の議案が取り上げられ、審議が行われた。特に注目されたのは、刈谷市災害派遣手当に関する条例の一部改正や、すぎな作業所改築工事の請負契約の締結に関する議案である。
まず、刈谷市災害派遣手当に関する条例の改正は、震災等の非常時における職員の派遣に関わる手当を見直す内容であった。企画総務委員会の委員長、揚張慎一氏は「この改正により、災害時の対応がより迅速に行われることを期待している」と述べ、議案は異議なく可決した。
次に、すぎな作業所の改築工事に関する請負契約が議題に上がった。福祉産業委員会の委員長、深谷英貴氏は、作業所の機能を増強するためのこの工事には、生活介護の定員を現行の10人から20人に増加させることが含まれると説明した。また、障害者支援や個別対応を強化するために、数部屋の個室を設ける計画も提案されている。この議案も原案通り可決された。
特に意見が分かれたのは、行政手続における個人番号の利用に関する条例の改正だった。この改正は、マイナンバーカードの普及に伴い、関連する手続きの効率化を図るものである。賛成派は、手続きの簡素化が期待できると評価する一方で、反対派はプライバシーの懸念を表明し、「国民皆保険制度において混乱が生じる恐れがある」との意見があった。
議会では、小中学校の給食費無償化を求める請願も審議された。市民文教委員会の加藤幹樹氏は、現在の多子世帯への経済的な負担を軽減する必要性を訴え、無償化の実現を願った。一方、一部議員は、無償化には多額の予算が必要であるとし、慎重な態度を示した。最終的に、この請願も不採択となり、議会は市民の声と予算の狭間で苦慮する姿が伺えた。
加えて、議員提出議案として、義務教育費国庫負担制度の堅持及び拡充を求める意見書や、私学助成の拡充に関する意見書が連続して可決された。これらは教育政策の改善を目指すものであり、特に現在の少子化対策として、その重要性が増しているとされる。