令和3年9月の定例会では、刈谷市の各種行政課題について議論が行われ、多くの重要なアジェンダが取り上げられた。
まず、高齢者福祉に関する議論が活発であった。上田昌哉市議は、高齢者福祉の現状について「高齢化率は20.4%で前年比増加中」と指摘した。
さらに「介護予防の重要性」を強調し、地域包括ケアシステムの強化について質したところ、福祉健康部長の村口文希氏は、「介護サービスの拡充と人材育成策を進めている」と述べる一方、「大きな課題」として介護職員の人材確保の難しさも認識されていた。
次に、活発な質疑が行われたのは、スマートウエルネスシティについてである。稲垣雅弘市議は医療とデータの利活用を提案し、特に「PHRの活用」についての現状を尋ねた。福祉健康部長は「今後、医療と介護のデータを連携し、住民へのサービス向上を図っていく」との方向性を示した。
また、新型コロナウイルス感染症対策についても申し立てられ、牛田清博市議は「自宅療養者への支援が不足している」と指摘した。市役所の生活安全部長は「県が提供する食料支援の取り組みの強化」を宣言したものの、市の即応体制への不安も残った。
地域経済の影響についても冷静な分析が行われた。商工会議所との協同が鍵を握る中、山本シモ子市議は「産業まつりの中止は経済に大きな影響」とし、来年度の開催の可否を質した。市当局は、多くの中小業者の声を反映しつつ、地域のニーズを緊急に捉えることの重要性を再認識する必要があるとした。
最後に、刈谷市の農業についても触れられ、葛原祐季市議は農家の減少と高齢化が進む中、「市は農業支援にどれだけ注力するか」を問うた。産業環境部長は、農地の集約を進めていることを説明したが、より積極的な支援策の必要性が議論される結果となった。
このように、刈谷市の定例会では、多様な意見交換が行われ、市民に寄り添った施策と課題解決への取組が求められていることが浮き彫りになった。市当局の粘り強い対応が可視化され、中長期的な視点で抜本的な改革が求められる。