令和5年9月7日に行われた刈谷市の定例会では、様々な議題が取り上げられた。特に興味を引いたのは、佐々木隆教議員による水道ビジョンに関する質疑である。
この質疑では、刈谷市の水道施設及び管路の耐震化や更新への取組が論じられた。南海トラフ巨大地震は今後30年以内に発生する確率が70%から80%とされており、佐々木議員は震災時にも市民に安定して飲料水を供給するためには、耐震化が必要であると強調した。それに対して水資源部長の外山伸一氏は、配水施設や管路の耐震化率が67%に達していると述べており、具体的には今年度から一ツ木配水場の配水池新設に着手したことを報告した。
次に議論は水害に対する対策に移り、佐々木議員が新設される水源浄水場が境川近隣に位置するための浸水対策について質問した。外山部長は、浄水設備の機器を心配する意見に対して電気機器や制御機器は、浸水しないよう十分な高さに設置されると答えた。これは水害リスクを軽減し、将来の安全な水道事業運営に寄与するものと考えられる。
また、現代の課題である水質についても、PFOSおよびPFOAの水質検査が年に1回行われていると報告され、これまでの測定ではその合算値が暫定目標を下回っていることから、市民に対しては安全な飲料水が供給されていると強調した。これにより、地域住民が抱える不安の軽減に繋がっていることが伺える。
そして、地域公共交通計画についても議論された。次世代育成部長の斉藤公人氏は、公共交通の利用を促すための具体的な施策が求められるとの認識を示し、バス路線の再編やデマンド交通の導入を検討する考えが示された。これにより、高齢化を迎える地域社会のニーズに適した交通システムの実現を図る意向が明らかになった。
このように、刈谷市の定例会では、公共の福祉を担うための具体的で持続可能な施策の方向性が確認され、今後の市民生活をより豊かにするための取り組みが進むことを期待したい。