令和5年3月の刈谷市定例会では、議案が多くの審議を経て、重要な政策が可決された。
議案第1号、第8次刈谷市総合計画基本構想についてでは、「人が輝く 安心快適な産業文化都市」を将来都市像に掲げ、5つの重点戦略を策定。特に若い世代や子育て世代への支援が強調された。企画総務委員会委員長の渡邊妙美氏は、全国的な人口減少や自然災害の激甚化は深刻な課題とし、「各施策において協力、連携し、将来都市像を実現する必要がある」と強調した。
しかし、反対意見も出た。城内志津議員は、「自治基本条例を明記する必要がある。住民自治の意識を育むためには、総合計画中にその重みを示す必要がある」と述べ、また人権教育や平和施策の推進が確認されないことに懸念を示した。
次に、刈谷市の個人番号制度関連の条例改正において、外国人生活保護受給者への対応が議論された。福祉産業委員会委員長の鈴木絹男氏は、直近の生活保護に関するデータを示し、「現在535世帯のうち22世帯が外国人で、医療受診についても配慮が必要」と述べた。
また、子育て支援に関する意見も根強い。議案第3号の刈谷市国民健康保険条例の一部改正については、出産育児一時金の増額や負担軽減が求められたが、依然として高い保険税の問題が残る。議員たちは、政府の財政政策がもたらす影響を踏まえ、市民生活への影響軽減が急務であると訴えた。
さらに、待望の副市長の再任についても議論が交わされた。市長の稲垣武氏は、「近藤智展氏を選任し、今後も刈谷市の発展に貢献してほしい」と期待を寄せた。この任命に対し、一部議員からは、さらなる女性の登用が求められるなかで、現状の運営体制が男女比の偏りを示すことに対する懸念が述べられた。
請願に関しては、特に注目を集めたのが給食のオーガニック化推進を求める請願だ。市民の健康を第一に考え、安全で美味しい給食を提供する必要が強調されたが、委員会では反対意見も多く、結局不採択となった。議員たちは教育の質向上に向けた取り組みに意欲を示しつつ、地域の農業振興にも寄与する施策の必要性を訴えた。
議会は、今後の持続可能なまちづくりに向け、幅広い施策の実現に向けて取り組むことが求められている。