令和３年９月定例会の長門市議会では、危機的な財政状況に対処するための補正予算が重点的に議論された。特に、新型コロナウイルスの影響により、予算の柔軟な調整が求められ、多くの議案が可決された。
初めに、議案第１号の「令和３年度長門市一般会計補正予算（第４号）」が全会一致で可決された。予算決算常任委員会の吉津弘之委員長は、この補正に係る審査の経過報告において、予備費の必要性を訴えた。特に、豪雨による災害対応のために7月・8月に発生した経費が予備費から充用されていることについて説明を行った。執行部からは、土砂撤去や倒木除去に関する具体的な支出が報告され、市民生活を守るための緊急対策の重要性が指摘された。
次に、コロナ禍の財政影響を受けて新設された「いじめ問題等対策事業」への支出が増加していることも見逃せない。現状、教育現場では、精神的問題が発生することが多く、専門家による相談も増加している。教育長の伊藤充哉氏は、不登校児童の増加を基に意義ある新たな支援を行う必要性を強調した。
更には、議案第２０号から第２５号にかけての一括審議において、令和２年度の各種特別会計の決算が報告された。江原達也市長は、一般会計において黒字決算を達成したことが、地方財政の安定化に寄与した旨を語った。また、今後のさらなる財政基盤の強化に向けた施策も示された。特に市税収入の強化が重要視され、企業誘致やふるさと納税の促進が各議員から提案された。
さらに、コロナ禍による影響を鑑み、地方税財源の充実を求める声が寄せられる中、特別会計についても厳しい状況が続いている。特に合併前の長門市の高齢化に伴い、税収の減少が懸念されるとの指摘した。これに対し江原市長は、必要な施策に対して予算を確保し、持続可能な運営を目指す必要があるとし、具体的な基準の見直しや課題の整理が行われることが期待される。議会の充実した審議は、地域の未来を見据え、市民目線の施策が求められる中、今後の動向が注目される。