令和6年3月に開催された長門市議会では、地域の観光振興や災害対策、環境問題などについて幅広い議論が行われた。この中で特に注目されたのは、観光地のブランド深化に関する田中千秋議員の発言である。
議員は、長門市の観光振興において18年間の経済状況を振り返り、江原市長に対し「観光事業を推進してほしい」と述べた。特に油谷・伊上・俵山・仙崎の各地区が持つ特性を生かした施策について具体的なビジョンを求めた。その中で、江原市長は「観光産業の重要性を認識しており、観光需要の早期回復に向けた取り組みを進める」と強調した。
また、来る2025年の関西万博を見据えた国内外からの観光客誘致と、各観光地へのアクセス向上も議題となり、地域の住民の理解と協力が必要であることが強調された。観光周遊タクシーの運行開始や、観光資源の情報発信強化により、長門市全体の観光資源を最大限に活かす狙いがある。
さらに、地球温暖化対策への取り組みについては、重廣正美議員が質問。江原市長は、温室効果ガスの排出抑制を図るための施策を進めていることを説明。特に省エネ設備の導入促進や、環境教育の重要性について訴えた。
公共施設の管理や運営においても、従来の方式を見直し、市民との対話を重視した市政運営を進める意思が示された。特に、利用状況に応じた適切な施設の整備が求められており、地域の高齢化や人口減少に備える必要性が指摘された。
また、議員の中には、若い世代からの意見を受け入れる重要性を強調し、市長は「市民や若い声を大切にしたまちづくりを実現する」との考えを明らかにした。
今回の議会では、観光振興のみならず、都市的な課題や解決策に対する市議会と市の関係者との意見交換が活発に行われ、今後の長門市の施策に向けた方向性が確認される充実した場となった。
総じて、長門市は観光地としての魅力を再評価し、合併当初の「観光立市」の理念を再度具現化するための取り組みを進めていく姿勢が示された。