令和5年第1回加須市議会定例会は、加須市の地方政治に関する重要な議題が数多く取り上げられた。特に、高齢者の生活支援と、救急医療体制の強化が焦点になった。
及川和子議員は、高齢者が直面する厳しい生活状況について詳細に指摘した。市が実施した調査によれば、約27.1%の高齢者が大変苦しい生活を強いられており、家庭内介護の負担も増加しているとのことだ。加須市の特別養護老人ホームは810人の定員に対して、201人が待機しており、この状況には改善の余地が求められるとの見解を示した。
一方、介護保険料の負担も大きな問題として浮上。及川議員は「年金受給者が介護保険料の引き上げに苦しむ中、国からの調整交付金が減少している」と指摘した。福祉部長の野崎修司氏は、調整交付金の交付率が影響していることを説明し、今後も公費負担割合の引き上げを国に要望していく考えを明らかにした。
加須市ではさらに、新たな特別養護老人ホームの建設計画も進行中だが、建設資材の高騰により計画が遅れているとの情報があった。今後、開設時期や具体的な進捗状況について、新たな報告が待たれる。
次に救急医療に関して、小坂徳蔵議員が新型コロナウイルス感染症に関連した救急搬送の増加を取り上げた。2022年には救急出動件数が前年よりも1,179件増加し、合計5,916件となったことが報告された。特に、12月には過去最多の感染者数が記録され、救急医療体制が逼迫した。このような厳しい状況の中でも、救急搬送の実態調査を通じた体制の見直しが重要視されている。
市長の角田守良氏は、医療機関との連携を強化するとともに常駐型救急ワークステーションを活用した救急搬送体制の確立を目指す意向を示した。救急医療体制の充実は市民の安全に直結するため、さらなる取り組みが期待される。
さらには、少子化対策に関する議論も行われ、出生者数の減少が長期的な社会課題になっていることが強調された。
このように、加須市議会では住民の生活に密接に関係する問題に対する真剣な議論がなされ、今後の具体的な施策についても目が離せない状況である。