令和6年3月5日に開催された秩父市議会定例会では、市内外の広範な課題が取り上げられた。
中でも、特に注目を集めたのはAED(自動体外式除細動器)の屋外設置についてである。現在、市が管理するAEDは59か所で、そのうち実際に屋外に設置されているのは僅か1か所に過ぎない。この状況について、地域住民や救急医療従事者からは、特に夜間や休日にAEDがすぐに使えないことが大きな懸念材料であるとの指摘がある。市は、屋外設置型AEDの検討を継続する方針を示したが、早急な対応が必要だ。
次に、大滝トンネル開通に関連した地域振興についても言及された。トンネルの開通によって、従来よりも大幅に通行時間が短縮されることが期待されている。しかし、周辺地域への影響も懸念される。具体的には、道の駅大滝温泉の入り込み客数の減少が心配されており、地域経済に与える影響を carefulに考慮すべきだとした。トンネル開通後の国道140号の管理についても議論され、国道が市道に移管された場合、どのような管理体制がとられるのかが注目されている。
さらに、閉校となった学校の校歌の継承についての要望も取り上げられた。学校が閉校することにより、その校歌が世の中から消えてしまうことに対する悲しみの声が聞かれた。市は、閉校校歌を何らかの形で紹介する機会を設けることができないか、今後の検討課題としている。
高齢者の移動支援に関する施策も議論された。市は、免許返納後の高齢者に対して交通手段を用意するために様々な施策を講じているが、地域間での格差があることが懸念された。特に大滝地域では、公共交通の利用が厳しく、多くの高齢者が移動に困難をきたしている実情がある。市は、今後も高齢者の移動支援策の充実を図るとの意向を示している。
最後に、特殊詐欺防止対策についても議論が及んだ。特殊詐欺は依然として深刻な問題となっており、特に高齢者が狙われるケースが増えている。市は、情報の周知を強化する方針であるが、具体的な取り組み内容や成果についての質問が寄せられている。