令和2年8月の定例臨時会では、大阪市における特別区設置に関する重要な議題が取り上げられた。この会議では特別区設置協定書の承認を含む様々な議案について、83名の議員が参加し議論を行った。
会議では特別区設置協定書に関する議案第134号や、令和2年度の一般会計補正予算に関する議案が中心となった。特別区設置に関し、財政部門からは「特別区と大阪府間の財政調整制度」について質疑があり、理事者は「大阪市が住民サービスを適正に提供するために財源を配分する」との答弁を行った。
また、議案第135号については、コロナ禍における大阪ミナミ地区の事業者支援に向けた協力金支給に関する内容であった。市長の松井一郎氏は、「感染症対策を踏まえつつ、各区選挙管理委員会に期日前投票所の増設を促す」と述べ、投票環境の向上を図る方針を示した。
一方、反対意見も数多く出され、議案第134号に対する反対討論では、「2015年の住民投票での結果を無視して新たな特別区設置を進めることは民主主義の危機だ」とする意見もあった。また、財政シミュレーションに対する疑問や、特別区移行後の住民サービス維持への懸念も指摘された。
この議会の結果、議案第134号は承認され、議案第135号についても原案通りの可決が決定した。付帯決議として、住民投票実施にあたっての感染症対策にも配慮が求められた。この他にも、請願第4号による特別区設置の差し止めの請求については処理が一事不再議の原則により却下される運びとなった。
議長は会議の最後に、今後の重要な課題として「市民の生命を守ることを最優先に考え、必要に応じて住民投票についても判断を行う」と強調した。特別区設置に関する議論と市民の理解を促進するため、様々な意見を収集し続けることが求められる状況と言える。