令和元年11月19日、大阪市会にて定例会が開催された。
議題の中心には、平成30年度の歳入歳出決算報告が置かれている。決算特別委員会の委員長、上田智隆氏は決算結果を報告し、一般会計の収入は前年に比べて増加したと述べた。その要因として、府費負担教職員制度の見直しによる個人市民税の増が挙げられる。
同氏によると、歳出の増加は障害者自立支援給付費や教育・保育給付費などに起因し、最終的に実質収入は30年連続の黒字が確保された。しかし、今後10年間の財政見通しは厳しく、高齢化に伴う扶助費の増加や万博関連経費の負担が影響を及ぼす可能性があるという。これを受けて、市政改革や事業の選択と集中が急務となる。
質疑応答では、防災対策や教育施策についての質問が相次いだ。防災について、昨年の災害を受けた計画修正が求められ、特に要配慮者の支援計画作成の進捗が報告されたが、現状は十分ではないとの指摘があった。これに対して、理事者は実効性の高い対策が必要であることを強調し、計画の早期確定を約束した。
教育分野では、ICT教育の推進が話題に上り、学習端末の整備状況について言及された。理事者は、将来的には"1人1台"の政策実現を目指す考えを示し、家庭や地域との連携による学力向上の重要性を訴えた。
また、万博に向けたパビリオン出展やスーパーシティ構想についての質問もあり、市長は大阪の強みを生かした出展検討を進める意向を表明した。一方で、カジノ誘致に関しては、日本共産党の山中智子氏が強い反対意見を表明した。彼女は市民の福祉や安全が後回しにされている現状を指摘し、カジノに伴う問題点を重ねて強調した。市民負担が増加する中、これ以上のリスクを負う必要はないと述べた。
討論を経て、報告第29号および第30号は認定された。また、臓器移植を求める意見書案や、2025年の万博に寄与するインフラ整備を求める意見書案も原案通り可決された。これにより、大阪市会の主要な議題が決定され、市民の生活向上に向けた諸施策が進められる見込みである。