令和3年12月10日に行われた雲仙市の第4回定例会では、市政一般質問が中心議題に上がった。議員たちは、市民からの多くの意見や要望を反映し、各種施策についての透明な情報共有を求めた。
10番の酒井恭二議員は、南島原市での空池原地区貯水施設の建設に関し、地域住民から寄せられた不安の声を紹介した。この施設は大きな貯水能力を有しているため、近隣住民は完成後の使用に懸念を抱いている。酒井議員は、市役所に対しては具体的な説明を避けられたとし、地域の安全についての見解を問いたいと述べた。
次に、ハマユリックスホール駐車場のトイレ利用状況についての質問が続いた。酒井議員がトイレの閉鎖状態を指摘し、市民から長期間使用できない状況に不便を感じているとの声を代弁。教育長の下田和章氏は、トイレがアコウの木の根による影響を受けていると説明し、どうにか早急に対応をしていると強調した。最高の施設であっても、その管理が適切ではなければ活用は難しいという現実が浮き彫りになった。
その後、渡辺勝美議員が雲仙市の安全安心の取り組みについて質問。市長の金澤秀三郎氏は、地域防災や防犯に関する施策の強化を述べ、防犯協会や交通安全協会と連携を図ると回答した。雲仙市では、刑法犯罪や交通事故の認知件数が減少傾向にあることから、継続的な啓発活動を実施していく方針がうかがえた。
一方、平野利和議員は農業施策にも言及。雲仙市内の米作付面積が過去10年で減少しているとの報告に対し、減反政策の影響や消費の変化を指摘。水田の役割として自然環境の保全や炭素吸収などが評価されつつ、農業振興に向けた明確な施策が求められた。特に農業後継者の育成が重要視される中で、実践的な支援が必要であるとの声が多数上がった。
また、特別支援教育についての問題も提起された。市は、特別支援学級の担任に対して研修を行っているとしても、現実に子供たちが抱える問題への対応が不十分であるとの指摘がなされ、より一層の支援体制の充実が求められた。
最後に、望洋荘とみずほ千年の湯の運営状況についても質疑がなされ、特に市民からの要望や利用に対する期待が強いことが印象的であった。市は民間事業者との連携を模索しつつ、長期的な経営計画を模索する必要性を強調した。市民と行政のより良いコミュニケーションが、今後の施策推進の鍵となることだろう。