令和4年3月7日、対馬市議会では定例会が開かれ、市政一般質問が行われた。議員たちは、対馬博物館の開館や地域振興に向けた施策について多岐にわたる質問を行い、その中でも特に「対馬博物館の開館準備」と「教育支援体制」の問題が議論を呼んだ。
新たに建設中の対馬博物館は、令和4年4月30日の開館を予定しており、春田新一議員は博物館と地域経済の連携について言及した。博物館は、対馬の歴史や文化を広く伝えることを目的としており、地域の観光資源としての役割が期待されている。一方、他の観光施設との相互連携の重要性も指摘され、特に金石城跡や朝鮮通信使歴史館との連携による観光客誘致が求められている。市長の比田勝尚喜氏は、観光周遊チケットの計画概要や、博物館の運営形態についての見解も述べた。
次に、教育環境の充実についての質問が続き、特別支援が必要な医療的ケア児に関連する支援体制が焦点となった。教育長の永留和博氏は、医療的ケアを必要とする児童に対する支援体制の現状を説明し、医療的ケア児が安心して学校生活を送るための取り組みや課題を挙げた。いじめ撲滅や不登校に関する取り組みも重要視され、多面的な支援策の強化が必要との意見が多かった。
また、佐護川の河川改修計画の進捗状況についても質問があり、河川の流域面積と浸水被害の実態が報告された。市長は、用地買収や工事の進捗状況について触れ、地域住民の不安解消に向けて計画を推進していることを明らかにした。
しかし、河川改修には時間がかかるため、災害時の避難所についても意見が交わされた。地区公民館や指定の避難所が機能するよう準備が進められているが、豪雨によりアクセスが制限される課題も提起された。
最後に、有害鳥獣対策が取り上げられ、特に鹿やイノシシによる農作物や環境への影響についての懸念が示された。市長は、駆除活動の強化や拡大を約束し、これからの実施内容について市民に対して正確に情報提供することの重要性を訴えた。
市議会では多様な意見が交わされ、対馬市の地域振興や子育て支援、環境対策について議論が進められた。今後の施策により、地域社会がより良い方向に進展することが期待される。