令和元年9月18日に行われた対馬市議会の定例会では、韓国からの観光客激減が市の観光産業に与える影響について多くの議論がなされた。観光業に依存する市にとって、急増した外国人観光客の減少は大きな打撃であり、議会では日本人観光客の誘致に向けた具体策の検討が求められた。
市長の比田勝尚喜氏は、観光客減少の背景には日韓関係の悪化があると述べ、これは深刻な状態であると認識している。市および長崎県は、日本人観光客誘致を目指し、旅行社への商品造成支援や観光プロモーションを強化する方針を打ち出している。特に、意見交換会や観光対策会議の設立を通じて、観光産業関係者の連携を深めていることが強調された。
また、市では中小企業への資金繰り支援策を講じており、例えば長崎県の緊急資金繰り支援資金や対馬市の中小企業振興資金など、低金利での融資制度が利用可能であると案内されている。このような支援を背景に、特に観光関連業者の経済的な安定が図られることを期待している。
一方で、少子化問題についても議論が展開された。市では現在、合計特殊出生率の目標を2.20に設定し、出産や子育て支援の充実を図る方針を示している。また、妊婦健診や乳幼児健診、定期予防接種を無償化し、さらに里帰り出産に関する助成も行っている。これに加えて、市は第3子以降の保育料を無料にする施策を継続する意向を示した。特に、出生率が回復するための具体的な方策について、引き続き議論を深めていく必要がある。
草食性魚類の駆除についても言及された。市はこの駆除を磯焼け対策の一環として、漁業者の協力を得て継続的に実施していく方針を述べた。実績としては、近年駆除数が増加しているが、供給と需要のギャップに悩んでいることが現状である。漁業者への報奨金制度や、水産品の加工化への支援の必要性も提言された。
市長は今後も、国内観光客の増加や少子化対策に向けた施策を積極的に展開していくとともに、草食性魚類の有効活用についても注力していく意向を示した。市民も参加する形での情報共有と連携を強化し、全体的な地域活性化を目指すべきであるとの結論が出た。