令和5年9月名張市議会定例会では、地域の重要課題について議論が交わされ、特に財政運営や社会福祉に関する問題が多く取り上げられた。
幸松孝太郎議員は、健全な財政運営条例の必要性を訴え、現状の財政調整基金が減少し続ける状況を指摘した。幸松議員は、具体的に「適正規模」とされる15億から20億円を維持するための条例を提案した。
市長の北川裕之氏は、健全な財政運営に関する条例の重要性には同意しつつも、実施の必要性について精査が必要だと述べた。さらに、市は今後もこの議論を深めていく方針であることを示した。
次いで、教育DX(デジタルトランスフォーメーション)の進展についても議論された。教育長の西山嘉一氏は、GIGAスクール構想に基づくタブレット端末の活用状況と教育の質の向上に向けた取り組みを報告した。西山氏は「イノベーションを通じて教育の充実を図る」姿勢を強調した。
また、地域における子ども・子育て支援については、健康・子ども担当部長の山崎美穂氏が、名張版ネウボラに関する取り組みの強化を表明し、さらなる支援体制の充実を目指すと述べた。特に、地域社会とのつながり強化が不可欠であるとの認識を示した。
高齢者の見守り支援に関する提案も行われ、市長の北川氏は地域の企業と連携しながらの見守り体制の強化に言及した。見守り協定の締結先として21の企業と連携を行っており、日常的な情報共有の重要性を述べた。
さらに、地域交通に関する議論では、デマンド交通や乗合タクシーの導入が検討された。交通部長の伊集院時仁氏は、「地域ニーズに応じた柔軟な交通手段の検討が不可欠」と強調し、さらなるサービス向上を約束した。
最後に、日本オオサンショウウオに関する委員会設立の招致議論が行われ、地域資源としてのオオサンショウウオを活用し、市の魅力を発信する考えが示された。市長は「地域振興と観光力向上に向け、全庁一丸となって取り組むべき」と述べ、この戦略を積極的に推進する意向を示した。