伊勢市の12月定例会では、保健福祉拠点施設の整備に関する議論が中心となった。
議員からは、駅前での福祉拠点施設の必要性や、将来的な経費負担の懸念が示された。特に、賃料に関しては、品川幸久議員が、「20年間で22億6,330万円の債務負担行為を計上したが、その根拠を明確に示すべきだ」と指摘し、曖昧な説明では市民に納得を得られないと訴えた。これに対し市の担当者は、不動産鑑定による賃料設定が行われ、適正であるとの理解を求めた。
さらに、宿典泰議員が保健福祉拠点施設の内装工事について質疑を行い、「内装工事費だけで四億7,000万円、その他の経費も含めるとさらに多くなる。これらを含むトータルコストを市民に分かるよう説明すべき」と要求した。
また、駐車場についても議論があり、想定される駐車台数や費用についての確認が行われた。市側は129台の駐車場を確保する予定だが、具体的な駐車場使用の状況についてはまだ不透明感が残る。駐車場料金に関しても、時間貸しの料金が透明に示される必要があると指摘された。
議論は豪雨災害への備えにも進んだ。地域の安全を確保するため、浸水対策や河川管理の進捗状況について市長自らが詳細に説明し、今後も国・県・市の連携をもって対策を講じる意向を示した。特に、地域共生社会の実現に関する取り組みを強化し、福祉の横断的な支援体制の整備が急務であるとの認識を共有した。
今回の定例会では、福祉施策が単なる予算消費にとどまらず、実質的な市民の支援につながるものであるかどうかを見極める重要な機会とされ、市の根本的な方針が問われることとなった。今後、具体的な施策の成果が待たれる。