令和6年3月1日、薩摩川内市議会では減災対策に関する質問が行われた。
市長は、能登半島の地震を受けて、災害に備える必要性を強調し、すでに着手している事業を紹介した。特に水道施設の耐震化は急務であり、現在全長1157キロのうち約59キロが耐震管である。さらに、耐震化率を2030年までに40%まで引き上げる計画を明らかにした。
次いで、農業用ため池の耐震化についても言及があり、21か所の防災重点ため池の耐震調査の進捗が報告された。現在19か所の調査が終了し、そのうち9か所は耐震対策が必要とされ、2か所で工事が完了している。
道路や橋梁についても、市が管理する810橋のうち70橋が耐震化対象とされており、急速に進める必要性がある。
甑島においては、津波警報が出た際の避難訓練が重要視され、地元住民に対する高台への迅速な避難を呼びかける取り組みがなされている。
また、住宅の耐震化に関しては、助成制度は存在するものの申し込みが少ない状況であり、その背景に「今の住居が大丈夫だから」という意識があることが指摘された。さらに、指定避難所の耐震性の見直しは喫緊の課題であり、保育に配慮した防災計画が求められていることも明確にされた。
市は、市民の備蓄意識を高めるため、家庭や事業所への啓発を強化・推進し、物資の管理体制を整えている。また、SNSやスマートフォンを利用した情報伝達の強化が必要で、高齢者層への対応も考慮する必要がある。
最後に、消防団の機能強化に向けて、地域からの参加を促し、若者を引き込むだけでなく、街の安全ネットワークを構築していく方向が示された。非正規雇用形態の消防団員を増やし、日常から地域防災力の向上を目指す必要性が訴えられた。
市長は、この議論を踏まえ、地域に根差した安心・安全の確保を強化し、市民とともに歩むまちづくりを進めていく考えを示した。