令和3年6月23日に開催された全員協議会では、福島第一原子力発電所における処理水の処分方法についての議論が行われた。
議長の大峯英之氏は、トリチウムを含む処理水の再検討を求める意見書を提出したことを報告した。その意見書では、政府および東京電力が漁業者などの関係者の理解を得ずに処分方針を決定することは許されないと強調している。特に、漁業関係者との理解の上に処理水の処分方法を決定するよう求める内容が含まれている。
内閣府原子力災害現地対策本部の副本部長、由良英雄氏は、事故の影響により多大な不安を抱えている福島県民に対し、政府方針を重く受け止め、できる限り透明性のある説明を行うことの重要性を訴えた。彼はまた、政府が行う風評対策として、農林水産業者との密なコミュニケーションを実施すると述べた。
国の方針が発表されて以来、既に多くの漁業者や住民から厳しい反対の声が寄せられており、海洋放出の決定が木枯らしとして位置づけられる懸念もある。特に漁業者たちは、放出が行われることで始まる新たな風評被害に強く不安を感じ、その影響を懸念している。
東京電力ホールディングスの新妻常正氏は、事故以来の信頼回復が必要であるとの認識を示し、透明性のある情報発信が重要であるという考えを表明した。さらに、処理水の安全性を確保するため、モニタリング体制の強化や風評被害への対策を積極的に進めていくと強調した。
また、法律上も海洋放出は正当化されるという立場を取った野田耕一氏は、国際的な基準に則った処理水の海洋放出を実施し、風評被害の抑制に取り組む姿勢を示した。彼は、処理水の放出までの過程において、漁業関係者との対話を継続する必要があることを認識している。
この全員協議会では国が提示した海洋放出の方針に対して、多くの反対意見が上がったことから、政府としては理解を得るための努力を行っていく考えである。国民、特に福島県民に不安を与えないようにするための具体的な施策が求められており、今後の動向が注視される。