令和2年12月7日に行われたいわき市定例会では、市政に関する一般質問が実施された。最初に登壇したのは、14番小野潤三氏(いわき市議会志帥会)。小野氏は、令和3年度の予算編成方針について質問を行い、特に新型コロナウイルス対策や地域医療の確保に関する施策の強化を求めた。
市長の清水敏男氏は、感染防止策や地域経済への影響緩和のため、予算を重点的に配分する方針を改めて示した。また、全体の財政見通しを考慮し、「持続可能な行財政運営の確立に向けて新たなまちづくりを進めていく」と強調した。
次に、小野氏は志帥会から提出した令和3年度予算編成に関する要望を引用し、88項目にわたる具体的な政策提案の反映についても言及。副市長の新妻英正氏は、全ての要望に対する真摯な態度で対応する意向を表明した。
小野氏は新型コロナウイルス感染症の影響を受けた市民の健康と生活を守るため、さらなる対策の強化を求め、保健福祉部長の飯尾仁氏への質問も行った。飯尾氏は、外来や入院の体制を確保しながら、現在の医療機関と連携し、感染対策に取り組んでいると語った。
さらに小野氏は、災害対応に関する課題についても言及。台風19号の際の教訓を踏まえて、危機管理監の山田誠氏から市対応の検証結果を聞き出し、今後の改善策を模索したい考えを示した。特に高齢者や障害者への情報提供についてさらに工夫を求める意見が出た。
次に、いわき市のふるさと納税事業に関する興味深い意見も述べられ、具体的な支援策として寄付金活用の拡充、地域協力促進が必要との提言もあった。これに対し、財政部長の澤田洋一氏は、寄付金を効果的に活用しながら、社会資源の確保に弾力的に対応していることを報告した。また、今後、地域との連携強化を進める意向を示した。
次に、いわき平城の遺構に関する議論も進展。小野氏は、遺構の保存と公園整備についての必要性を説明し、専門家の助言を受けながら進める必要があると訴えた。市長は計画変更を認める一方で、地域住民の意向を尊重しつつ行動する姿勢を強調した。
これに続き、中山間地域の持続可能性についても活発な意見が交わされた。木村謙一郎氏(いわき市議会志帥会)は、高齢化と人口減少が進む中山間地域における多様性を重視し、地域振興の重要性を再認識する必要があると述べた。市民協働部長は、この地域が果たす役割と機能を伝え、理解を深めるための啓発活動を行っていることを報告。地域おこし協力隊の役割についても研究を進めるとのこと。
会議の締めくくりでは、トリチウム汚染水の海洋放出についても言及され、参加する議員から強い反対意見が集まった。清水市長は、国に対して意見書を提出し、地域の声をしっかりと届けていく方針を示した。