令和2年7月20日、いわき市議会において定例会が開催された。この会議では、いわき市水道局の運営や水道事業に関する質疑が行われ、特に水道事業の経営状況が議員たちの注目を集めた。
まず、西山一美議員(いわき市議会志帥会)は、水道事業の現況について質問を行った。質問の中で、過去の台風による影響や、これからの水道事業を持続可能なものにするための施策について議論がなされた。
水道局長の加藤弘司氏は、昨年の令和元年東日本台風による被害を受け、収益が約4億8,000万円の純利益となったことを報告した。前年と比べ、収入総額は約3億5,000万円減少し、支出総額は約12億9,000万円増加したことが原因であると説明した。
また、加藤氏はこの厳しい状況の中でも、老朽管の更新事業は計画通りに進んでいると述べた。しかし、今後の見通しとして、人口減少に伴う水道料金の減収が予測されることから、経営基盤の強化が求められるとの見解を示した。
次に、大規模盛土造成地の調査事業に関する質問が行われ、都市建設部長の高田浩一氏が、国が進めている宅地耐震化推進の取り組みを含む計画について報告した。大規模盛土造成地の現状を踏まえた取り組みが進行中であり、特に震災の影響を受けた地域への対応が焦点となった。
さらに、農政問題についても意見が交わされた。農林水産部長の本田和弘氏は、人口減少や高齢化に伴う農業の厳しい現状を報告し、農業振興のための施策について説明した。特に、高収益作物への転換や農地集積の促進が重要な課題として指摘された。
最後に、農産品の地産地消とその推進策について議論が行われた。本市は、地元産材の利用促進を進めつつ、地域経済の活性化を目指す姿勢を示している。地元の方々の声を何よりも大切にし、市民に地元の農産物の価値を伝える施策を推進する意向が表明された。
水道事業の厳しい現状と課題、そして地域振興に関する様々な取り組みが議論される中で、市民が求める「安心・安全な生活」の実現に向けた具体的な施策の検討が求められている。議員たちの発言を通じて、持続可能な水道事業や農業の強化、地域の再生がますます重要であることが改めて浮き彫りとなった。本会議を経て、今後の施策に期待が寄せられる。