令和3年9月16日、下関市議会で開催された第3回定例会では、一般質問が行われました。この日は特に、新型コロナウイルス感染症対策や社会的問題についての議論が活発であった。
最初に「社会的孤立について」を取り上げたのは、公明党の平田陽道議員である。彼は、コロナ禍で一層深刻化した社会的孤立問題に触れ、その実態把握の重要性を訴えた。平田氏は「政府は今年度中に全国的な調査を実施すると表明した」と述べ、地域の支援体制の強化が急務であると強調した。特に、児童虐待やDVの増加を懸念し、「児童虐待の現状について、市の取り組みを示してください」と質問した。これに対し、こども未来部長の藤田信夫氏は、昨年度の相談件数が947件であることを報告し、虐待事案への迅速対応が必要であると語った。
また、「読書環境の整備に関する照会」では、平田氏はコロナ影響下における図書館の貸出冊数の減少を指摘。教育部長の徳王丸俊昭氏は、「図書館では休館や時間短縮が影響し、貸出冊数が減少した」と現状を説明した。平田氏は特に若年層の読書離れを憂い、「図書館を活用した子供たちの読書習慣を促進する取り組みの強化が必要だ」と声を大にした。
続いて、視覚障害者の安全性向上に関する質問も飛び出した。星出恒夫議員は、下関市身体障害者補助犬飼育費補助金交付要綱の見直しを求め、補助率の引き上げや手続き簡略化を提案した。福祉部長の内田敏彦氏は、「検討中である」としつつも、「経済的な負担も考慮しなければならない」と答えた。
非常に関心を集めたのが、新型コロナウイルス対策としての緊急事態宣言とその対応であった。「検査体制の強化が欠かせない」との意見が相次ぎ、医療機関のクラスターが発生している中、感染者数を抑えるための努力が重要であるとの見解が共有された。
特に、学校での感染リスクについても話題となった。教育長の児玉典彦氏は、学校内での感染状況を注視しつつ、「必要であればオンライン授業も導入する」と述べた。
さらに、安岡沖風力発電事業の進捗も取り上げられた。市側は、「地元理解が得られない状況下での事業進行はあり得ない」とのスタンスを明確にし、環境への配慮を重視する姿勢を示した。これに関連し、温暖化対策に関する意見交換も行われ、「2050年までに実質ゼロを目指す」との市長のビジョンが再確認された。
昨今の課題を背景に、議員らは地域の中小企業支援や雇用問題についても深く掘り下げた。山下隆夫議員は、「経済の底上げには地元中小企業の振興が不可欠」とし、さらなる施策の強化を要望した。産業振興部長の山田豊氏は、「地域資源を活用して新サービスの開発を進めている」と現状を報告した。
この日は、社会の各層で発生している問題に対し、議員たちが一般質問を通じて市側の見解と今後の方針を引き出し、市政運営の透明性を求める姿が見受けられた。質疑は活発に行われ、様々な角度から市民へのサービス改善や施策実現に向けた議論が展開された。