下関市は、令和4年度の一般会計予算案を提出し、合計額は過去最大の1088億985万708円となっている。これには市民の生活向上や地域活性化を目指す多くの施策が盛り込まれ、特に、医療や教育、高齢者への支援が重視された。本議会では、多くの議員からこの予算に関する質問が相次ぎ、市長の前田晋太郎氏が詳細な説明を行った。
議案第１２号として提案された一般会計予算には、待機児童対策に1200万円、ヤングケアラー支援事業に100万円が計上され、これらは市民からの要望に基づく施策である。さらに、市教育委員会は、全小・中学校へのタブレット端末配付を進め、教育のICT化を推進するための体制も整備している。教育長の児玉典彦氏は、この施策によって子供たちが自ら考え、行動する力を育むことが期待されるとした。
市の交通施策も重要な議題の一つとなり、公共交通の効率化を図るために、新たな小型バスの導入や運行ダイヤの見直しが議論された。環境面では、下関市は「ゼロカーボンシティしものせき」という宣言に向けた取り組みを進めており、再生可能エネルギーの導入が加速するとともに、地域特産を生かした新たな観光資源の開発が求められている。
また、洋上風力発電事業に関する懸念も挙げられ、漁業者からの意見が集まった。医療体制を支えるための地域医療構想の進行についても、江原満寿男議員から指摘があり、市長は、地域の実情に応じた見直しや対応の必要を認識していると述べた。
今後、教育施策、特に学校給食の地産地消効果についても重要なテーマとなっており、市では地元の農産物の使用を拡大し、長期的な安定供給を目指す姿勢を見せた。これにより、地元農家との連携が強化され、地域経済の活性化に寄与する期待がもたれている。
最後に、地域支援と持続可能な社会づくりに向けた施策の進展を見通し、市長は地域の声を反映させる場を設けることを約束し、予算案の実現可能性を向上させるための努力を約束した。継続的なサポート体制の構築が急務であることは、多くの議員からも指摘され、具体的な方策が必要であると強調された。