令和2年9月8日、新宮市議会定例会では、一般質問が行われ、特に「市長及び教育長の行政理念」に関する議論が注目を集めた。議員の大西強氏は、市長の田岡実千年氏の行政理念が市民に真摯に向き合っていないと主張し、特に財政健全化について厳しい批判を展開した。
大西氏は、田岡市長が就任当初から「市政は市民のためにある」と述べているが、実際には市民の声を反映できていないと指摘した。具体的には、「人事評価制度によって、市の経営が行き過ぎているのではないか」とし、これまでの財政運営が甘い見積もりで推進されてきたと批判した。さらに大西氏は、過去の財政シミュレーションが実現することは難しく、これからの施策においても市民の利益が後回しにされる懸念を示した。
次に、出産後のケアを支援する「産後ケア事業」や視力スクリーニング検査についても活発な議論が交わされた。産後ケア事業は、出産後1年未満の母親に対して、身体的・心理的なケアが行われる事業としての形が整いつつある。保健センター長の赤松勇人氏は、母親に対する支援内容や料金体系について説明し、本市における母乳指導などの取り組みを強調した。一方、視力スクリーニング検査も9月からの実施が予定されており、早期発見・早期治療の重要性が強調された。
また、一般質問では高齢者福祉や公共交通の再編についての言及も多かった。特に、介護事業者の支援についての話があり、感染症の影響を受けている介護業界に対する取り組みが必要であるとされた。市長は国からの支援項目を挙げ、地元の企業や団体との連携を強化し、新宮市の公共交通の活性化に努める方針を述べた。
この議論を通して、新宮市が抱える問題や今後の施策に対する期待が明らかになり、市民の生活向上に向けた取組の重要性が再確認された。特に経済の活性化や高齢者支援施策が急務であるとの意見が多く出たことが印象的であった。議会の今後の取組を注視していきたい。