令和2年6月の日光市議会定例会では、児童虐待の対応や教育行政、及び子どもたちの環境学習の普及などが主な議題として取り上げられた。
特に心を打つのが、児童虐待の問題である。18番の瀬高哲雄議員は、栃木県警による2019年の児童虐待認知件数の増加を取り上げ、その背景には新型コロナウイルス感染症が影響していると指摘した。県内での児童虐待相談件数が明らかに変化していることを報告し、「社会全体で子供たちを守ることが急務である」と強調した。
また、健康福祉部長の矢嶋尚登氏は市内における児童虐待相談件数の状況を説明し、家庭児童相談室の昨年度の延べ相談対応件数は5807件で、そのうち新規相談は54件とのデータを示した。仙台市の事例や厚生労働省からの調査結果と比較する中で、日光市でも冷静に対処すべきだと話した。
さらに、教育行政については、議員らが子どもたちの教育の重要性を訴えた。特に、プログラミング教育の実施に向けた取り組みについては、教育長の齊藤雄氏が、直近の状況を踏まえつつ、教育課程への組み込みについて様々な工夫をする必要性を強調した。
特に注目されるのは子どもたちの環境学習の普及について、福田道夫議員が具体的な取り組みを要望した点である。使い捨て文化を見直し、持続可能な社会に向けた学びが求められていると述べ、日光市としての取り組みへの期待が寄せられた。
議会では他にも、就学援助制度に関する議論や、コロナウイルスの影響を受けた結果としての子どもたちの生活状況に対しての議論が行われた。市はこれらの影響を踏まえ、できる限り迅速な対応と対応策の実行に努めていく必要があるとの認識が示された。
市政において最も求められるのは、今後の重要な方針に対する全体的な合意とその実行である。議会の討議を通じて、日光市が直面する教育及び福祉問題に対する具体的な施策がいかに迅速に実行されるかが、今後の大きな課題である。