令和6年6月の日光市議会定例会では、市の発展に向けた多岐にわたる一般質問が行われた。
特に目を引いたのは、移住促進施策についての嶋田正法議員の質疑である。彼は、日光市が消滅可能性がある市町の一つとして取り上げられた件について、市民の強い関心を促し、人口減少に対する施策の必要性を訴えた。具体的には、保育園留学の導入や、新たな移住者に対する補助を提案。市長は、保育園留学に期待しつつも、世帯数の増加には他施策との相乗効果が必要であるとし、新たな移住補助に関しては、公共交通機関の充実を前提とした慎重な姿勢を見せた。
続いて、安全確保に関する質疑も重要であり、嶋田議員は学校や公園での倒木の危険を指摘。また、第4種踏切の管理状況を取り上げ、事故防止策の強化を呼びかけた。教育次長からは、学校の樹木管理や踏切対策についての具体的な措置が講じられる旨の答弁があり、地域への安全対策が求められていることを再確認した。
さらに、過疎対策としては、特定地域づくり事業協同組合制度に焦点が当てられた。制度の利点に触れた瀬高哲雄議員の質問に対して、市の地域振興部長は、過疎地域における雇用創出の重要性を認めつつも、実施には地域内の協力が不可欠との見解を示した。地域資源の活用を図る施策を一層進める必要性が見えてくる。
観光に関しても、教育旅行メタバースを活用した取り組みが紹介された。市長はこのプロジェクトの利用実績が出てきたことを報告し、更なるコンテンツの追加と他施策との連携を進める意向を表明した。
しかし、教育や安全確保の施策は、単に構想を議論するだけではない。実行力と持続可能性が求められる。特に、少子化対策としての保育施策や若者の定住促進策に関しては、地域の優れた条件を活かしながらいかに具体化するかが今後の課題とされる。