令和2年3月9日に行われた浜松市の定例会では、施政方針や新型コロナウイルス対策など多岐にわたって議論が展開された。
市長の鈴木康友氏は、令和2年度の施政方針として「多様性とイノベーションで理想の未来を創造」を掲げ、市民が幸福を実感できるような施策を推進する意向を示した。
特に注目されたのが「デジタルファーストの推進」である。デジタル化により市民サービスの質を向上させ、市民の利便性を高める取り組みが進められ、施政方針には、AIやIoTを活用したスマートシティ構想が盛り込まれていることが強調された。また、デジタル環境の整備が重要であり、中山間地域のICT整備など地域差の解消にも注力するとの方針が示された。
議論の中で、特に就労・担い手対策についても言及された。市内の有効求人倍率が高い一方で、特に介護や福祉業界では人材不足が深刻化している。市は、UターンやIターンを促す施策を拡充し、地元産業の人材確保に向けた支援が必要との意見が出された。さらに、障害者の社会参加を促す超短時間雇用などの新たな雇用形態の導入も重要であるとの指摘がなされ、特に地域の特性にあった施策が求められた。
また、環境問題にも関心が寄せられ、新清掃工場の建設や温室効果ガスの排出削減に向けての施策が提案された。市は、持続可能な自然環境の維持に努めつつ、地域の特徴を生かす形での新たな取り組みが必要とされている。
一方、養護老人ホームとよおかについての説明も行われ、施設の管理運営に疑問が呈され、入所者の長期的な安全についても配慮が求められた。市は今後、待機児童問題や、住民の意見を真摯に受け止めた上での施策を進めると感じられた。
最後に、新型コロナウイルスに対する迅速な対応が求められていることから、情報提供や感染予防対策を含む施策は、市民の不安を解消する上でさらなる強化が必要であるとの意見が多く寄せられた。