令和5年3月における大村市の定例議会では、多くの議案が審議され、特に個人情報保護や福祉政策に関わる重要な法律施行条例案について熱心な討論が行われた。特に注目されたのは、第1号議案である「大村市個人情報の保護に関する法律施行条例」である。この議案は、個人情報の適正な取扱いを確保することを目的に、法律改正に伴う地方公共団体の対応を定めるものである。総務委員長の「原案可決」の報告を受け、委員からは賛成意見が多く挙がったが、反対意見も存在した。国が進めるデジタル化によって、個人情報漏えいのリスクが高まる懸念も指摘された。日本共産党の永山真美議員は、「デジタル化の進展に伴い、個人情報保護とデジタル化を同時に進める必要がある」と述べ、「この条例案は国のデジタル化推進の一端となる」と反対意見を表明した。
第2号議案から第8号議案までの福祉関連の議案も一括で審議され、国民健康保険の改正や福祉医療費の支給対象の拡大などが行われた。特に第2号議案では、出産育児一時金が引き上げられることが決まり、これには多くの賛同が寄せられた。福祉医療費の支給対象が未就学児から高校生まで拡大されたことも挙げられ、井川京子議員は「この改正は子育て世代に対する大きな支援である」と評価した。
経済建設関連の議案では、第17号議案の令和5年度一般会計予算の審議が行われ、全体で477億5,000万円の規模が示された。前年と比べ59億7,000万円の増額であり、地籍調査や新庁舎建設など、多岐にわたるプロジェクトが計画されている。これに関して、野島進吾議員は「迅速な庁舎建設が市民サービス向上につながる」と期待を寄せた。
特別委員会による報告では、これまでの活動と今後の政策対応についても触れられ、多くの議員から引き続き市政への関与の重要性が訴えられた。「新庁舎の建設によって市民の安全を確保することが求められる」との意見も上がった。議員たちは、ボートレースから得られた収益を市民のためにどう活用するかが問われる現在、改めて財政運営の必要性に対する認識を深めた。
議会の閉会に際しては、多くの議員が任期を終え、これまでの経験や感謝の意を表した。自己の活動を振り返りつつ、さらなる市政の発展を願う声が数多く寄せられた。新型コロナウイルス発生以降、社会全体の変化が求められる中、自治体としての機能はますます重要性を増している。議会としても、協力し合いながら持続可能な市政を目指していく姿勢が強調された。