令和元年12月9日、与謝野町議会定例会において、水道事業の未来とその維持に関する議論が行われた。特に注目を集めたのは、日本の水道システムに関する広域化や民営化の方向性に関しての質問である。
高岡伸明議員は、全国に共通する水道事業の問題、特に技術者不足や収入減少などに触れ、国が推奨する広域化と官民連携について厳しい見解を示した。議員は「広域化は地域の実情に基づかず、国や県のトップダウンで進むのではないか」と懸念した。さらに、広域的な水道企業への移行が危惧されるとの意見も示された。
山添藤真町長は、国の策定した水循環基本法に触れ、水道事業は公営企業として運営されるべきであり、民営化には否定的な姿勢を示した。高岡議員は、民間委託のメリットと懸念について質問を重ね、特に水道事業における技術者不足が与謝野町においても重要な課題であることを指摘した。
上下水道課長の山添雅男氏は、現在技術者が1名であり、高年齢化が進んでいるため、「人数が足りていない」と明言した。実際の業務に対しては若手の技術者の育成が急務であり、地域に根ざした水道事業の持続可能性には地域独自の施策が必要との認識を示した。
また、瑕疵の有無や更新の必要性についても質疑が交わされ、与謝野町では配管の整備がなされていることが強調された。更新時期に関しては「まだ問題ない」とされているが、長期的には設備の劣化が避けられないことも論じられた。この問題は地方自治体だけでなく、日本全体に共通する深刻な課題となっており、各自治体が独自に対策を講じる必要性が強調された。
会議では、広域化についても懸念が示され、民営化に替わる方法としての地域水道への回帰も検討されている。しかし、高岡議員は「民営化と民間委託のはっきりした違いを認識すべき」とし、町長も「経営統合や民営化を行う予定はない」と繰り返した。
最終的に、与謝野町の水道事業は地方の特性を活かした持続的運営が求められており、国の政策やトップダウンの流れに対抗することで、地域の声が反映されることが期待されている。