令和3年1月6日に、横浜市議会で行われた臨時会では、市第100号議案、即ち、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)の誘致に関する住民投票条例の制定が審議された。
議案は、地方自治法に基づく条例の直接請求を受けたもので、19万3193筆の署名が集められ、実質的には市民の意向を反映させる手続きであると認識されている。議論の中で、住民投票の実施を求める拡大する市民の声が背景に想像され、林文子市長は、住民の意思を尊重することが重要であるとしながらも、住民投票が実施される結果、推進方針が変わる可能性があることへの懸念を示した。
市長は、今回の直接請求を受け、住民投票の実施に関して「意義を見いだしがたい」との意見を付し、今後進めるべき手続きの中で、議会の合意形成と地域の意見を基に進行する考えを強調した。しかし、市民からの直接の意見を聞く機会が与えられる住民投票に対して、金銭的コストを理由に否定的であるとする姿勢は、多くの市民から反発を受けている。市議会では、人々の意見が無視されているとして、住民投票の必要性が再確認されつつある。
一方、副市長の平原敏英氏は、他の自治体の住民投票制度の実例を引き合いに出し、住民投票が市民参加の重要な手法であることを挙げ、住民自治の基盤をより強固にするための効果を主張した。特に、他都市における住民投票の成果が参照され、地方自治と民主主義を強化する観点からの議論が進められる必要があるとした。
住民投票条例の可決が進むことで、市民の声を反映させる新たな政治的過程が形成される可能性がある。市長は引き続き、コロナ禍の影響を配慮しつつ、市民と議会の意向をしっかりと受け止めていく姿勢を求められ、その言動が注視されることとなった。今回の臨時会は、カジノ誘致の是非を問う重要な場であり、今後の議論がどのように展開されるかが、横浜市の未来を大きく左右することは間違いない。