令和3年3月2日に開催された鹿児島市の定例会では、新型コロナウイルス感染症対策や待機児童ゼロ、観光振興など多岐に渡る議題が取り上げられた。特に注目されたのは、市長の下鶴 隆央氏が提案した新年度予算案である。市長は厳しい財政環境の中、感染症対策に必要な予算を優先すること、また市民の命を守るための施策を徹底すると述べた。
長浜 昌三議員は、新型コロナウイルスの影響と地域の社会状況に触れ、感染防止と経済活動の両立を進める必要性を訴えた。また、現在の厳しい経済状況を鑑み、感染症対策に伴う新年度予算についても言及し、約110億円の予算規模を打ち出したことに支持を表明した。
一方で、平和についての市長自身の認識が問われた際、市長は被爆国としての経験を踏まえ、核兵器禁止条約の発効は重要と考え、平和の重要性を強調した。この条約は、核兵器の開発や使用を禁止するものであり、平和都市を自負する鹿児島市としてその実施に向けた取り組みを続けていくとのことだった。
更に、待機児童ゼロの実現に向けても議論が交わされた。現行の保育士不足を解消するため、新たな施策の導入が急務とされ、高いレベルの保育サービスの提供が目指された。特に、保育士資格取得支援や保育所の業務効率化に力を入れる方針が示された。
観光交流局長は、コロナ禍による観光業の厳しい状況を分析し、地域ライブイベントや観光の魅力を再発見する活動が重要であると述べた。市は、市民が観光情報を発信する施策に力を入れ、地域経済の活性化を図る必要があるとした。
新年度からは、ゼロカーボンシティかごしまに向けた取り組みも進められ、再生可能エネルギーの導入や観光事業の促進が本市の重要な戦略として捉えられている。環境局では、再生可能エネルギーの拡大が、持続可能な地域経済に繋がるとの見解が示された。また、今回提案された食肉センターの運営問題には、県と市が協力して新たな負担の在り方を見直す必要があるとの声もあった。
最後に、市道奥之宇都線整備工事に関する問題も提起され、安全性を確保しつつ工事を進める方針が明言された。市長は、施工方法の見直しとともに、対策を講じることで市民の安全を守るとの決意が表された。