令和3年12月8日に行われた雫石町議会の定例会では、農業振興や地域づくり、観光業の回復に向けた取り組みが議論された。特に、農業に関する課題や新型コロナウイルスの影響が大きく取り上げられた。
今回の議会では、農業における米価の下落についても多くの議員が関心を寄せた。
農林課の資料によると、令和3年産の米価は大幅に下落し、町全体で約4億4,487万円の経済的影響が予測されている。この影響は農家にだけでなく、町の税収にも影響を及ぼすと懸念されている。米農家への支援策として、町では主食用米生産者緊急支援給付金を設け、万全の体制で年内給付を進めているが、総額は農家の減収額に対して依然として不足しているとの見方も示された。
また、原油価格や資材費の高騰も農業経営を圧迫している。蔬菜や飼料用米の需要増加に伴い、農業経営はますます厳しさを増す公算だ。農林課からは、今後の支援策についても国や県の対応に注視し、適切なタイミングでの支援を検討していくとの意向が示された。
地域づくりに関しては、地域住民が主体となって活動を進めることの重要性が強調された。地域運営組織の設立に向けた取り組みが進行中で、住民一人ひとりの意識改革が必要だとされている。
また、観光業の回復に関しても、コロナ禍で多くの観光施設が運営に苦慮している現状が指摘された。観光商工課からは、アフターコロナ対策として、アウトドア観光資源に着目した調査が進められていることが述べられ、ニーズの変化に柔軟に対応すべく準備が進んでいるとのことだ。
新たに設立される予定の地域の観光団体、DMOについても、町は地域の特性を生かしつつ、実効性のある組織となるよう支援を続けていくという方針が示された。地域住民との連携を強化し、観光の魅力を最大限に引き出していく必要性がますます感じられた議会であった。コロナ禍からの経済回復に向け、町全体での支援とそれぞれの地域活動が重要になってくると言えそうだ。