令和5年9月に行われた雫石町議会定例会では、議員から介護保険制度や投票率、無形文化財の継承に関する質問が相次いだ。
まず、介護保険に関する質疑では、町内の高齢化率と施設利用の課題について、上野三四二議員からの指摘があった。医療や介護に関する財政的な問題が深刻化している中、特別養護老人ホームの待機者数が56名にのぼることが明らかになった。総合福祉課の田辺茂課長は「高齢者が安定的な生活を送るためには、地域の見守り体制を整え、また自立した生活を支援する必要がある」と強調した。高齢者の生活の質を向上させるため、町として今後もさらなる支援策が必要であることが議論された。
次に、投票率の低下についても話題に上った。今回の町議会議員選挙の投票率は58.86%で、前回の69.32%からは大幅に減少した。選挙管理委員長の林崎正邦氏は「投票率が減少した要因は、今回が町議選のみの単独選挙であったこと」と述べ、次回の選挙に向けた方策の検討を示唆した。また、自動車を利用した移動期日前投票の導入についても言及があり、町としても交通手段に困難な高齢者を支援する必要性が強調された。
最後に、無形文化財の継承活動に関して、上野氏より「雫石よしゃれ」の保存継承が特に重要であると指摘。その策定にあたっては、町が積極的に関与し、指導者となる人材を育成する必要があると語った。教育長は「無形文化財の保存については、地域との連携や各種イベントの開催を通じて地域の高齢者の活動を支援する方針であります」とし、「雫石よしゃれの県指定への働きかけを進めていく」と述べた。
この会議での議論は、高齢者や地域住民の意識を高め、未来につながる施策にとって、実行力のある計画が求められることを示唆している。今後も介護や地域文化に関する課題について、町内外での協力を通じて対応が進められることが期待される。