芦屋市議会は令和2年9月10日の第6回定例会で重要な議題が取り上げられた。今回の会議では、特に公共の場でのマナー向上に向けた取り組みが注目されている。田原俊彦議員は、急速に普及しているスマートフォン使用時の危険について指摘し、歩きスマホなどが引き起こす事故の具体例を挙げた。これに対して、いとう市長は地域の交通安全運動を通じて、啓発活動を行っていると述べた。
田原議員は、公共の場におけるマナー向上に向けた条例化の必要性についても議論を呼びかけた。一部の自治体が歩きスマホ禁止条例を制定している事例を挙げ、芦屋市でもそのような施策が求められていると強調した。同時に、公園でのごみのポイ捨てや喫煙についての問題も再認識され、啓発の強化が必要とされている。市長も、啓発活動の必要性を認めた上で、看板設置や自粛中である地域団体への啓発を強化する意向を示した。
さらに、行動経済学の「ナッジ」理論を行政にどのように活用するかというテーマも取り上げられた。田原議員が成功事例を挙げつつ、ナッジを使った公共政策の実施を提案した。市長は、特定の施策にナッジ理論が役立つとしつつも、当面は具体的な実行計画は未定であると述べた。支出を抑えつつ、衛生対策、健康診断受診率の向上につながるような施策を考えていく意向を持っている。
また、防犯対策について、米田哲也議員は市内の防犯カメラ設置状況や、防犯カメラの増設が犯罪抑止に寄与することを指摘した。いとう市長は、正確に152台の防犯カメラが市内に設置され、今後の増設は見込んでいないと回答した。
この会議では、全国的に見ても財政力が高く、市民生活が豊かな芦屋市において、特に903名の子供に対する教育施策が求められるという議論も展開された。たかおか知子議員は、熱中症対策についての検討を求める質問を行った。教育長は、環境温度に配慮した取り組みや教育現場での注意喚起について説明した。しかし、児童の通学時の負担軽減など、さらなる対策の必要性にも触れられた。
今議会を通じて、公共の場でのマナー向上、経済的な行動経済学活用法、防犯対策、教育環境の整備について、ひとつの方向性が見えてきた。市民にとってより良い地域づくりが今後も求められていることは明らかであり、議会及び行政が共同でその実現に向けた取り組みを進めて行く姿勢が重要である。