令和3年第5回福山市議会の会議が9月15日に開催され、広島県における土砂災害ハザードマップに関連する一般質問が行われた。この中で、田口裕司議員は市の土砂災害警戒区域と市民の反応について詳しく質問した。現在、福山市では2545カ所の急傾斜地崩壊地点が確認され、特別警戒区域は2467カ所に及ぶ。
田口議員は「市では、土砂災害警戒区域にお住まいの住民へ情報提供や対策工事に関する補助金を周知し、避難行動を呼びかけている」と指摘した。また、最近の調査によると、約90%の人々が自宅周辺のハザードマップを確認したことがあると答える一方で、実際に避難を行った人はわずか8.2%に過ぎない。その理由は多くが「自宅は危険ではない」と考えていることが影響しているという。
これに対し、枝廣直幹市長は「市はハザードマップを基に情報提供し、避難行動を促進するための取り組みを強化している」と応じた。具体的には、昨年度、広島県と連携し市民向けのリーフレットを郵送、区ごとのハザードマップも配布している。地域住民の認識をさらに深めることが急務であると再確認された。
また、森林整備と災害対策に関しても議論された。田口議員は、急傾斜地や里山の保水能力の低下が災害につながりかねないことを警告し、森林整備の重要性を訴えた。市では、森林環境譲与税を用いて、災害防止に向けた取り組みを進めるが、「今後さらに具体的なプランを策定し、地域の植生調査に基づいた整備を進める必要がある」と市長は強調した。
一方、田口議員は、施設整備の推進にも言及し、(仮称)福山市東交流館や伊勢丘交流館の新築工事について、これらが災害時の指定避難所としての機能を果たすことを期待していると伝えた。市も、施設の早急な整備を約束し、地域住民が安心して住める環境の実現に向けて努力する意義を強調した。
福山市では、地域ごとの防災力の強化、特に防災士や消防団との連携をさらに進めていく考えを示し、今後の議論が市民生活に直結する重要な課題であることを述べた。全議員が注視している問題であり、さらなる具体策の検討が期待される。