令和5年第1回福山市議会が2023年3月6日に開かれ、各種予算案が一括で審議される中、福山市市長の枝広直幹氏は新年度予算についての意義や市債発行額について説明した。
一般会計予算は1842億円であり、特別会計を含めた合計は3621億円に上るが、実質的には2105億円に達し過去最大規模となる見込みであることを強調した。市長は、これにより安心と成長を支える都市基盤づくりの総仕上げの時期が到来したと述べ、その背景には、昨年度が1968億円であった一般会計からの減少を挙げ、今後の施策が将来の財政にどのように影響していくかの懸念も示した。
一方、福山市の重要な課題が人口減少である。連石武則議員による質問に対し、市長は、2022年の転出超過数が2404人に達し、特に20代の転出が顕著であると指摘した。また、厚生労働省から発表された統計によれば、昨年の出生数が80万人を割るという危機的状況下にあるとのことだ。このような危機感を持つ中で、福山市は「福山ネウボラ」を通じて、子育て支援や保育サービスの充実に努める方針を示していることが印象的であった。
また、デジタル化の推進についても言及があり、福山市はマイナンバーカードの普及を強化するための取組を進めている。市長は、デジタル化に対する市民の理解と参加を促す施策が重要であり、特に高齢者やデジタル弱者への配慮が必要だとした。行政の取り組みの一例として、緊急通報システムやデジタルサービス講習会を挙げ、幅広い市民の参加を促進していると述べた。
さらに、福山市の地元資源を活かした観光振興が新年度に導入される見込みで、福山城を中心に、地域資源を活用した賑わいの創出やMICE(会議、報議、展示会)推進に繋がるような施策も展望されている。このように、福山市の未来づくりは地域の活性化に対する期待が寄せられており、市民もその一翼を担う役割が求められていることが報告された。
このように予算審議の中で福山市の持続可能な発展への熱意が示されたが、様々な社会問題が横たわる中、今後の取り組みが見守られることになるだろう。