令和6年9月の定例議会で、酒田市の矢口明子市長が、7月25日の大雨による災害の復旧状況について報告した。その中で、大雨による農業被害が過去最大の水準に達していることや、その影響による復旧の取り組みに関して説明が行われた。
農作物や農業施設での被害は、浸水、冠水、土砂災害などによって甚大な影響を受けており、被害額は約34億6,400万円にのぼる。特に、米や小麦、果樹などの品目において、生産者は現状の支援体系では十分な補償が得られないと懸念を示している。市長は、農業者の生産意欲を失わせないため、市として何らかの補償支援を検討する必要があると述べた。
また、住宅被害においても、浸水や土砂流入により多くの住宅が被害を受けた。特に大沢地区、観音寺地区、松山地区などで目立つ浸水被害があり、住居の復旧に向けた進捗も遅れている。
市長は、内水氾濫常襲地帯への対策を強化していく方針を示し、その一環として水位監視システムを整え、市民に状況を迅速に知らせる仕組みを構築する意向を示した。特に、豪雨時に多くの情報提供を行うことが重要とされており、自衛隊やボランティア団体との連携も強化する必要があると呼びかけた。
さらに、ボランティアの受入体制について、市は社会福祉協議会と協力し、ボランティア活動の周知を進めていく方針を打ち出した。災害復旧にあたるチャンスを逃さず、地域住民の協力を得ながら、被災者支援を強化していく。ただし、ボランティア活動は予算の制約や法的整備が追いついておらず、今後の改善が求められた。
最後に、観光戦略においても、市は観光施設の活性化の必要性を感じているとし、特に新たに開設される「いろは蔵パーク」が、観光客の誘致に重要な役割を果たすとの見解を示した。地域全体の観光資源を生かし、観光業の基盤をしっかりと築き上げていく方針が示された。