令和5年第1回玉野市議会定例会では、一般質問が行われ、議員が多岐にわたる問題について議論を交わした。特にリスキリングや子ども数の急減、円安の影響に関する意見は多くの注目を集めた。
令和たまの代表宇野俊市氏は、リスキリングの現状について警鐘を鳴らした。日本政府がリスキリングに関して約1兆円の支援を行う方針を示していることに対し、「知識の蓄積はAIが得意であり、法曹業務などは将来AIに取って代わられる」と述べた。具体的にAIの導入が進む国々の事例を挙げ、教育システムが工業化社会の名残を持つ日本では、新興国に対しても遅れをとっていると指摘した。また、求められるスキルとして、営業支援や在庫管理の自動化、AIを活用した新事業の構想力の重要性も強調した。
次に、ソロ社会化についての議論も行われた。宇野氏は、内閣府の研究から、若者の交友関係の希薄化が少子化に拍車をかけているとし、政府の施策が焼け石に水であると主張した。彼は「地方政府の首長として、具体的な施策を求める」声を強く発し、地方自治体の役割が一層重要であると訴えた。少子化対策についても、真剣な取り組みを要望した。
また、円安の進行に対しても懸念を示した。「日本企業は労働生産性が向上せず、過去の日本と比べて存在感が薄れている」と述べ、政府が進める金融政策の影響や国際競争力の低下への懸念を表明した。特に、岸田政権の防衛費増額が国民生活に及ぼす影響に触れ、「市長として声を上げてほしい」と強調した。
その後、宇野氏がマイナンバーカードに関する問題提起を行い、自身が感じているデジタル政策への疑問を表明した。医療現場への影響や、高齢者の負担など、その弊害についても触れ、より多くの市民の声を拾うべきであると訴えた。
教育改革についても語られ、宇野氏は北欧型教育の重要性を訴えながらも、現行の日本の教育システムに対する疑問を呈した。教育長がその取り組みについて説明する中でも、「時代に合った教育改革を推進することが求められている」との意見は一致していた。
玉野市が抱える課題の一つとして、地域防災にもふれられた。地元的な助け合い活動への支援や、家具の転倒防止策など具体的な施策が求められる中で、地域との連携の重要性が強調される場面も見受けられた。
今回の議会では、市民との対話を促進し、聞き入れることが求められることが繰り返し議論され、多様な視点からの意見が交わされた様子が印象的であった。市民の声を踏まえた施策の実施が求められる中で、各部長の答弁に対し、多くの議員が引き続き具体的な施策提案を進める姿勢を崩さなかった。